貯金しているのに、なぜ投資も必要なのかな?

なぜ投資が必要か?

「投資はリスクがあるから、貯金だけで十分」と感じる人は少なくありません。 ただし金融庁は、家計が将来に備えるためには、貯蓄に加えて目的別に金融商品を活用した資産形成が重要だと示しています。

理由は大きく3つあります。

  • 超低金利のもとでは、預貯金だけではお金が増えにくい
  • 物価上昇(インフレ)が続くと、貯蓄の価値が目減りする可能性がある
  • ライフプランの選択肢が多様化し、自分に合った準備が必要になっている

そのため、まずは家計管理と貯蓄を行い、その上で目的別に金融商品を活用しながら、自分に合った資産形成を進めていく考え方が示されています。

ポイント 資産形成は「お金を増やす」だけでなく、低金利や物価上昇のもとで「お金の価値を守る」役割もあります。

預貯金だけでは増えにくい時代

日本では、預金金利がとても低い水準で推移しています。

金利の感覚をつかむ目安として、72の法則があります。 これは「お金が2倍になるまでの年数」を、72 ÷ 金利(%) でおおまかに計算する考え方です。

金利元本が2倍になる目安
8%約9年
6%約12年
0.02%約3,600年

金利が低いほど、預けただけではお金がほとんど増えないことがわかります。

補足 単利は元本だけに利子がつき、複利は元本と利子の両方に利子がつく方式です。複利の効果は、金利が高いほど、期間が長いほど大きくなります。

物価上昇でお金の価値は目減りする

物価上昇とは、モノやサービスの値段が上がっていくことです。インフレともいいます。

日本銀行は、2013年1月の金融政策決定会合で、消費者物価の前年比上昇率2%を「物価安定の目標」として導入しました。

物価が安定して伸びる状態は、家計や企業が消費や投資の意思決定をしやすくし、経済の持続的な成長を支えるとされています。

物価が緩やかに上がる一方で、預貯金の利息がそれを下回ると、同じ金額で買えるモノは少しずつ減っていきます。これが「お金の価値が目減りする」という意味です。

注意 預貯金は元本が守られる安全な置き場ですが、物価上昇には弱いという面があります。

投資で経済の成長の果実を受け取る

投資とは、銀行などに預けたり、株式や債券、投資信託などを購入したりして、資金を経済活動に提供することです。

企業はそのお金で設備投資や研究開発、商品やサービスの提供を行い、得た利益の一部を、配当や利子、株価の上昇という形で投資家に還元します。

主な金融商品には、それぞれ次のような特徴があります。

  • 預貯金:元本保証があり、安全性と流動性は高いが、収益性は低い
  • 債券:国や企業にお金を貸すしくみ。国債は安全性が高く、社債は発行企業次第
  • 株式:社の一部を所有することになる。元本保証はないが、高い収益性が期待できる
  • 投資信託:多くの人から集めたお金を株式や債券などに分散投資するしくみ。少額から始めやすい

3つの基準(収益性・安全性・流動性)すべてを満たす金融商品はありません。目的に応じて使い分ける考え方が基本です。

補足 リターンとは、お金を運用した結果として得られる利益や損失のことです。リターンの不確実性(振れ幅)の大きさをリスクといいます。

リスクを軽減するためにできること

金融庁では、投資のリスクを軽減するためのキーワードとして、「長期」「積立」「分散」と「非課税制度」が挙げられています。

長期で運用する

保有期間が長くなるほど、短期の値動きの影響がならされ、リターンが安定する傾向があります。金融庁の試算では、毎月同じ金額で国内外の株式と債券に積立投資を行った場合、保有期間が5年では元本割れも見られた一方、20年保有では実績ベースで年率2〜8%の範囲に収まる結果が示されています。

積立投資(時間の分散)

「あらかじめ決まった金額」を「続けて」投資する方法です。価格が高いときは少なく、低いときは多く購入することになり、平均購入単価をならす効果が期待できます。

分散投資

値動きの異なる複数の資産に分けて投資すると、価格の変動が小さくなりやすくなります。 さらに国内だけでなく、先進国・新興国など投資先の地域も分けることで、世界経済の成長の果実を受け取りやすくなる効果が期待できます。

非課税制度を活用する

通常、株式や投資信託で利益が出ると約20%の税金がかかります。NISAやiDeCo(個人型確定拠出年金)といった非課税制度を活用すると、税負担を抑えながら長期の資産形成を進められます。

ポイント 「長期・積立・分散」と「非課税制度」を組み合わせると、元本割れリスクの軽減と効率的な資産形成の両方が期待できます。

投資をはじめる前に意識したいこと

金融庁の資料では、投資を始める際に意識したい点として次のような項目が挙げられています。

  • 余剰資金(よじょうしきん)で行う
    生活資金とは別の、当面使う予定のないお金で投資を行います。
  • 自己責任の原則を理解する
    金融商品は自分の意思で選ぶため、利益・損失はすべて自分に帰属します。
  • 制度の優遇を活用する
    代表的な非課税制度として、NISAとiDeCoがあります。
注意 投資には元本割れ(がんぽんわれ:投資した金額より受取額が少なくなること)のリスクがあります。「必ず儲かる」「元本保証で高利回り」といった説明には十分注意しましょう。

国としての後押し

国も、家計の安定的な資産形成を後押ししています。

金融庁が公表した資産運用立国実現プラン(2023年12月)では、NISAの抜本的拡充・恒久化や金融経済教育の充実などが柱として掲げられています。 2024年1月からは新しいNISAが始まり、家計から投資へ向かう資金の流れを後押しする政策が進められています。

まとめ

  • 投資が必要とされる背景には、超低金利でお金が増えにくいこと、物価上昇でお金の価値が目減りする可能性があること、ライフプランの多様化があります。
  • 生活資金を確保したうえで、長期・積立・分散とNISAなどの非課税制度を組み合わせ、無理のない範囲で続けることが基本です。

参考・出典